患者さんが入院生活を快適に過ごすためには、より良質な環境整備を行うことが不可欠です。そのためには、環境整備をただ事務的に行うのではなく、患者さんという1人の人間のために行うということを忘れず、次のような点に注意して整備することが必要になります。まず、「患者さん優先」という点です。マニュアルに沿って行うのではなく、患者さん目線で患者さんに合わせた室温の設定や備品の配置などを行いましょう。そのためには、コミュニケーションを取って患者さんの希望を読み取ったり、直接聞くことが必要です。備品1つを動かす際にも、しっかりと同意を得た上で行うなど、プライバシーにも配慮しましょう。次に「時間による変化を考慮する」という点です。常に患者さんに付き添えるわけではないので、時間による病室内の室温や明るさの変化を先読みして、過ごしやすい環境に整備することが必要です。また、「患者さんの状態の変化に合わせる」という点も重要です。例えば、臥床状態だった患者さんが歩けるようになれば、ベッドの高さの調整などを行って動き回りやすい環境を整えたり、逆に起き上がれなくなってしまったのであれば、手の届く範囲に備品を配置するなど、少しでもストレスなく過ごせるように配慮します。最後の注意点は「スタッフ間の連携」です。1人の患者さんに対して複数の看護師が環境整備を行う場合、特にこの連携が必要です。日によって整備の質に差が生じないように、看護師間でルールを決めて手順書を作成することで、差が生じることなく安定した環境整備を行うことができます。